ML'sGarally '03年12月

東京都渋谷区国連大学本部  願わくば全ての人に、ツリーの灯りが届きますように。


 撮影場所:
 東京都渋谷区 国連大学本部
 
 年々クリスマスイルミネーションの準備が早く、派手になりつつありますね。
 私の勤める会社のビルでも、エントランスホールに立派なツリーが飾られるようになりました。

 汐留・品川といった都心の再開発ラッシュで、店子が次々流出している地区であるため、大家さんも細かいところにも気を遣って引留めに走っているようです。

東京都東大和市日立航空機工廠跡  先日、休暇を利用してアフガニスタンの首都カブールと、イラクの首都バグダッドに行ってきました。弾痕生々しいこの画像は、その時のものです。。。。。。


と、キャプションを付けたら信じてしまう方が何人かはいらっしゃる筈。種明かしをすると、東京都東大和市に残されている旧日立航空機の変電所跡です。
 昭和20年に三回の空爆を受け、百人を越す死者を出したその当時の傷跡を留めたまま、現在は都立公園になった工場敷地内に今も佇んでいます。

 カブールからのニュースは少なくなりつつありますが、国家再建への道程は未だ端緒についたばかり。イラクに至っては戦闘終結宣言後も毎日のように戦死者の知らせが伝えられています。
 
 兵士を送り出した家族の気持ちを察するに、その悲しみは想像に余りありますが、一方で戦場となったかの国の人々の怒りや悲しみに、想いを馳せる人が何人いるだろうかと考えると、少しばかり絶望的な気分になります。
 
 つい半世紀ちょっと前に、全体主義と原理主義が一緒になったような体制のおかげで戦争へ叩き込まれた歴史を持つ国の市民として、独裁者や女性の人権を無視する集団に共感は感じません。
 しかし同じくつい半世紀ちょっと前に、星マークの飛行機の空爆に曝された記憶も、目に染む硝煙の刺激臭と、血と屍肉の腐臭を放ちながら、身近に生々しく転がっています。

 私達の立場として、空爆する側に近いのか、空爆に曝される側に近いのか。回答は自ずと導き出されるでしょう。


 星マークの戦略爆撃機に国土を蹂躙された経験をもつ国のなすべきことは、少なくとも星マークの後ろに隠れて銃を構えることではないような気がします。
 今まさに彼らが身を置くような焼け野原から、この国が如何に立ち直ってきたのかを伝え手を差し伸べることが、長い目で見れば最も感謝されるはずです。

 或いは「普通の国」として打って出るにしても、何らかの後ろ盾を頼ったり、保護や賞賛を期待して出掛けていくのは無謀に過ぎるし、無責任の謗りは免れ得ません。

 かの国、イラクはイスラム教徒しかいないのかといえば然にあらず。政権中枢で外相〜副首相を務めたアジズ氏は、キリスト教徒とのプロフィールが伝わってきています。だったら尚更接点が見つけられなかったのか、悔やまれるところです。

 
 このツリーの灯りが、貧困と寒さに苦しむ全ての人に届きますように。明日は少しでも状況が改善されるように祈りつつ、2003年を見送ることとしましょう。



photo&essay:nekobasu320
東京都杉並区久我山

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